奈良の社会保険労務士『もりかわ社労士事務所』就業規則作成・変更、是正勧告対応、パート・高齢者雇用 奈良の社会保険労務士「もりかわ社労士事務所」 〜トピックス〜
内々定取消しで不動産会社に賠償命令
元大学生の男女2名が、景気悪化を理由に採用の内々定を取り消したのは違法だとして、不動産会社に損害賠償(計495万円)を求めていた訴訟で、福岡地裁は、「内々定を得た学生が採用に期待するのは当然。会社の対応は信義則に反し不法行為に該当する」として、会社に対して男性に85万円、女性に110万円を支払うよう命じる判決を下しました。
顔などの傷で男性が女性より低い労災補償は「違憲」
顔などに傷が残った場合の労災補償で、男性が女性よりも低い障害等級とされる国の基準の合憲性が争われていた訴訟の判決が京都地裁であり、「男性も顔に障害を受ければ精神的苦痛を感じ、性別による差別に合理的理由はない」として、この基準を違憲と判断しました。
労働審判と審判後の裁判 裁判官が同一でも合法
労働審判の担当裁判官が、審判後の裁判において判決を下すことは違法かどうかが争われていた訴訟の上告審判決が最高裁判所(第3小法廷)であり、「労働審判は裁判の下級審には該当せず、違法ではない」という初めての判断が示されました。
添乗員に「みなし労働時間制」の適用認めず 東京地裁
事業場外みなし労働制の適用を理由に残業代が支給されないのは違法だとして、旅行会社の派遣添乗員の女性が会社に未払い残業代(付加金を含め約110万円)を請求していた訴訟において、東京地裁は、女性の請求を全面的に認める判決を下しました。同地裁は「会社は業務を詳細に指示するなどしており、労働時間の把握は可能だった」と判断しました。
変形労働時間制認めず残業代の支払いを命令 東京地裁
1カ月単位の変形労働時間制を理由に残業代を支給しないのは違法だとして、スパゲティ店の元アルバイト男性(28歳)が日本レストランシステムを相手に未払い残業代などの支払いを求めていた訴訟で、東京地裁は、同社に対して時効分を除いた約12万円の支払いを命じる判決を下しました。同社では、変形制採用を理由に1日8時間を超えた分の残業代を一部しか支払っていなかったが、半月分のシフト表しか作成していませんでした。
「ひげで給与減額」は違法 神戸地裁判決
ひげを理由に人事評価で低い評価を与えられて給与を減額されたのは人権侵害であるとして、郵便事業会社の男性職員が同社に損害賠償(約157万円)を求めていた訴訟で、神戸地裁は「同社のみだしなみの基準は限定適用されるべきで人事評価は違法」として、同社に約37万円の賠償を命じる判決を下しました。
「名ばかり管理職」の残業代めぐる訴訟が和解へ
紳士服大手コナカの店長2人が「名ばかり管理職」として扱われていたとして、未払い残業代(計約1,280万円)の支払いを求めていた訴訟において、和解が成立したことが明らかになりました。会社側が解決金(金額は非公表)を支払う内容で、原告側は「十分に納得できる」額だとしています。
知的障害者への障害年金不支給決定処分を取消し
知的障害を有するにもかかわらず障害基礎年金の支給を拒否されたとして、2529歳の男女6人が国を相手に不支給決定の取消しを求めていた訴訟の判決で、大津地裁は原告の訴えを認め、全員の不支給決定の取消しを命じたました。原告側は「障害の程度を過小に評価したもので違法」「認定者の主観で結論が大きく左右される基準には不備がある」などと主張していました。
内部告発のオリンパス社員が敗訴 配転を違法と認めず
オリンパスの男性社員(49歳)が社内のコンプライアンス窓口に通報した結果として不当に配転されたとして、配転命令取消しなどを求めていた訴訟の判決で、東京地裁は「命令が報復とは認められない」として同社員の請求を棄却しました。「勤務地は変わらず賃金減額を伴う降格もない。業務上の必要性もあった」とし、会社の権利濫用に当たらないとしました。
偽装請負での「直接雇用義務」を認めず 最高裁判決
パナソニックの子会社(パナソニックプラズマディスプレイ)で働いていた元請負会社社員が、同社に直接雇用の義務があることの確認を求めていた訴訟の上告審判決で、最高裁は「雇用関係はない」との判断を示し、雇用義務を認めた二審(大阪高裁判決)を破棄して元社員の請求を棄却したことがわかりました。
雇用延長訴訟で「60歳定年は適法」 東京地裁
NTT東日本を60歳で定年退職した元社員10人が、「60歳以降も雇用延長しないのは改正高年齢者雇用安定法に反する」として、同社を相手に社員としての地位確認などを求めていた訴訟の判決で、東京地裁は「法は65歳までの雇用延長を義務付けていない」として、元社員側の請求を棄却しました。
NTT元社員「残業ゼロ」で労災認定 札幌地裁判決
NTT東日本の社員が心臓病で死亡したのは、長期宿泊研修を強いられたことが原因だとして、遺族が国を相手に労災補償不支給決定の取消しを求めていた訴訟で、札幌地裁は「研修と異動への不安が、大きな肉体的、精神的ストレスとなり、死につながった」として、処分を取り消しました。元社員は心臓に持病があり、会社は残業、宿泊出張を禁止していました。旭川労働基準監督署は長時間労働がないことを理由に労災認定していませんでした。
「夫の自殺はパワハラが原因」妻が労災申請
夫が自殺したのは職場におけるパワハラが原因であるとして、佐川急便新潟店の元係長(当時42歳)の妻が新潟労働基準監督署に労災申請を行ったことがわかりました。妻は、夫が上司から「新人研修で勉強してこい」「係長なんてやめちまえ」などと言われたと主張しています。
「社内資格や賃金の格差は男女差別」東京地裁判決
社内資格や賃金における男女格差は差別に当たるとして、昭和セル石油の女性社員ら12名が男性社員との差額賃金など計約5億4,900万円の支払いを求めていた訴訟で、東京地裁は「違法な男女差別があった」と認定し、同社に慰謝料として計約4,900万円の支払いを命じました。差額賃金の算定は困難と判断しました。
「育休復帰後の降格・減給は不当」社員が提訴
育児休業取得後に降格・減給されたのは不当であるとして、ゲームソフト制作会社「コナミデジタルエンタテインメント」の女性社員(36歳)が、同社を相手に地位確認と差額分の賃金を求める訴訟を起こしたことがわかりました。女性は、復職後に担当業務を変えられるなどして月約20万円減給されていました。
「上司のセクハラ・パワハラ報告で解雇」は無効 東京地裁
常務理事によるセクハラやパワハラなどに関する報告書を作成・提出したことにより解雇されたのは無効であるとして、「骨髄移植推進財団」の元総務部長の男性(58歳)が地位確認などを求めていた訴訟で、東京地裁は、解雇無効を認定して慰謝料などの支払いを命じました。
「退職強要」で会社を提訴 日本IBM社員
会社のリストラ策に伴い執拗な退職強要を受けたとして、日本IBMの社員3人が、同社を相手に精神的損害の賠償や今後の退職強要の差止めなどを求める訴訟を提起しました。3人は、人格の否定や脅迫まがいの退職強要を受けたと主張しています。
「部下からのいじめで自殺」労災を認定
部下からのいじめ・嫌がらせでうつ病を発症して自殺したのに遺族補償給付などが支給されないのは不当だとして、自殺した男性(当時51歳)の遺族が処分の取消しを求めていた訴訟で、東京地裁は、いじめ等と自殺との因果関係を認め、国の処分を取り消す判決を言い渡しました。
いすゞ自動車に元期間従業員への賃金全額支払い命令
契約期間が残っているにもかかわらず休業扱いとされ賃金を60%に減額されたのは不当であるとして、元期間従業員3人がいすゞ自動車に賃金の全額支払いを求めていた仮処分申請で、宇都宮地裁(栃木支部)は、元従業員の主張を認め賃金の全額支払いを命じる決定を出しました。
元派遣社員らが「雇止め無効」を求め日産自動車を提訴
人員削減に伴う雇止めは無効であるとして、日産自動車・日産車体の元期間従業員・元派遣社員ら5人は、両社を相手に雇用継続と賃金支払い、慰謝料の支払いを求める訴訟を横浜地裁に起こしたことがわかりました。
マック「名ばかり管理職」で和解 残業代支払いへ
直営店の店長を労働基準法上の管理監督者とみなして残業代を支給しないのは違法だとして、現役店長が日本マクドナルドに未払い残業代などの支払いを求めていた訴訟の控訴審で、会社側が一審の判決を事実上受け入れ、店長は管理監督者には当たらないことを認め約1,000万円を支払うとする和解が東京高裁で成立しました。
「課長代理」を「名ばかり管理職」に認定 東京地裁
職務上の権限を十分に持たない「課長代理」を管理職とみなして残業代を支払わないのは不当だとして、ソフトウエア会社の社員3人が未払残業代の支払いなどを求めていた訴訟で、東京地裁は、会社側に残業代など計4,500万円の支払いを命じました。課長代理には部下の人事考課や昇給を決める権限がなく、統括的な立場にないと判断しました。
派遣先の使用者責任認定で実質的に偽装請負を認定 
請負会社の指示で働いていた男性が製缶工場で転落死したのは安全対策の不備が原因として、遺族が製缶会社と請負会社に賠償金を求めた訴訟の判決で、東京地裁は、「製缶会社に実質的な使用従属関係があった」と認め、二社に約5100万円の賠償を命じた。(2/14日経新聞より引用)

本来の請負契約に基づく業務で労働者災害が発生した場合は、その使用者責任(安全配慮義務)は請負会社のみが負います。請負会社の指揮命令の下、請負会社の機材や施設で業務をすることとなるからです。

しかし、昨今騒がれている偽装請負状態の場合は、請負会社の労働者が実質的に派遣労働者のようなかたちで労働していることとなるために、指揮命令をしている部分での使用者責任は請負業務委託元(実質的派遣先)が負わなければならないはずです。

今回の判決は委託元会社の使用者責任を認めたため、結果的にその労働形態が派遣労働(つまり偽装請負)であったことを認定したことになるのだと思います。

今後の偽装請負の認定について、大きな意味をもつ判決になるのかもしれません。
マクドナルド店長 勝訴
マクドナルドの店長が未払いの残業代を支払うよう訴えていた裁判で、店長側が勝訴しました。

労働基準法では、労使協定を結んだ場合は原則週40時間を超える労働をさせることができ、その時間外労働分に対しては割増して賃金を支払うよう義務付けています。

ところが、労働基準法41条では、以下のような者はそのような割増賃金を支払う必要はない、と規定しています。

その者とは、「監督若しくは管理の地位にある者」です。

要は、マクドナルド側は、店舗の店長はその「管理監督者」にあたるから残業代は不要だと主張し、店長側は店舗内のわずかな権限しか与えられておらず、しかも残業代を補うほどの特別な手当ももらっていないから、店長は「管理監督者」にあたらず、過去の未払い残業代を支払え、と訴えていたわけです。

今回の判決では、管理監督者を「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」と判断しました。

そして、店長にそのような権限はなく、賃金面でも優遇されていない、ということで店長側の勝訴となったわけです。

先日も紳士服販売のコナカで同様の争いがあり、こちらの方はコナカが解決金を支払うことで和解したようです。

マクドナルドは控訴する方針だそうです。

今までの人件費体系が根本的に変わることになるので、争う理由もわからなくはないですが、マクドナルドの店長の劣悪な労働条件は過去にもよく指摘されていました。

最近業績が上がってきているようですが、それがこのような一部の労働者の犠牲の上に成り立っているものであれば、本末転倒です。

これは外食や量販店チェーンだけの問題ではなく、一般企業でも同様に考えていかなくてはならない問題だと思います。

マンション住み込み管理人の残業代 最高裁が一部認める
最高裁が19日にマンション住み込み管理人の時間外労働に関する判断を示しました。所定労働時間は9:00〜18:00とされていたものの、実際は朝7:00の管理人室の点灯と22:00の消灯が義務付けられていて、住民対応もしていたため、早朝および深夜の時間外労働を認めるよう訴えていたものです。また、住み込みでの労働という特殊性ゆえに、勤務時間中の犬の散歩や通院に関しても労働時間に含めるよう合わせて訴えていたようです。高裁判決では、早朝深夜の時間外労働を認めた上で、住み込み業務は日常生活と一体化しているため、通院や犬の散歩も長時間でなければ労働時間であると認めましたが、今回の上告審では通院や犬の散歩の部分は私的行為であり労働時間とは認められませんでした。
基本的に会社の指揮命令下にあれば労働時間とする、という従来の最高裁判例を踏襲する判断であり、マンション管理会社や同様の業務に従事している労働者に影響を与えそうな判決と言えそうです。
パワハラで初の労災認定
男性営業マンが自殺したのは上司の暴言などパワーハラスメントによるうつ病が原因だとして、男性の妻が静岡労働基準監督署に労災認定するよう求めた訴訟の判決で、東京地裁の渡辺弘裁判長は15日、暴言と男性のうつ病発症や自殺との因果関係を認め、労災の不支給処分を取り消しました。パワハラによる自殺に労災を認めた判決は初めてです。(10/16日経新聞より引用)

セクハラほど報道されないので目立ちませんが、日本の企業ではこのパワハラで苦しんでいる人も多いようです。今回の判決の認定内容をみても、「存在が目障り」「お願いだから消えてくれ」など、人を人とも思わないあまりにひどい暴言の連続で、苦しんだ末の自殺だったようです。この判決後、裁判に至る前の行政審判制度でパワハラでの労災適用が認められました。労働行政の見直しにつながることを期待します。
学生障害者無年金訴訟 原告5人の敗訴確定
学生時代に重い障害を負った元学生5人が、当時任意加入だった国民年金の未加入を理由に障害基礎年金を支給しないのは違憲だとして、国に不支給処分取り消しと損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷は28日、国の責任を認めず、元学生側の上告を棄却しました。元学生側の敗訴が確定しました。
原告側は「学生の国民年金加入を任意とする制度を国が放置したため、学生時代に事故に遭い、無年金になった障害者が不利益を受けた」などと主張。国には不作為の責任があると訴えていました。

(日経新聞 9/29)
障害年金不支給 社保庁側が敗訴 判断見直し迫る内容
両方の股関節に人工関節を入れた岡山県の主婦が、国民年金障害基礎年金の不支給処分を不服として処分取り消しを求めた訴訟で、東京地裁(定塚誠裁判長)は31日、処分を取り消す判決を言い渡しました。支給基準を画一的にとらえて支給しなかった社会保険庁に対し、生活実態に見合う判断を迫る内容で、同種のケースにも影響する可能性があります。
 判決によると、主婦は両変形性股関節症と診断され、03年4月までに両方の股関節に人工関節を入れる手術を受けました。
 足に人工関節を入れた人の場合、片足の三つの関節のうち二つ以上に障害があると年約80万円の年金を受けられます。しかし、主婦の場合は現在も補助用具なしで座ったり階段の上り下りをしたりすることができない状態にもかかわらず、片足に1カ所だったため、支給の対象となりませんでした。
 判決は片足、両足といった基準を画一的にとらえず、「立ち上がる」「階段を上る」などの日常動作の不自由さで見て、主婦の障害を「両足機能に相当程度の障害を残すもの」と判断。不支給処分を取り消しました。
 社保庁は「内容を詳細に検討して控訴するか決めたい」としています。

asahi.com  9/1
TBC個人情報流出 二審も約3万円支払命令
エステティックサロン、TBCHPに入力した約5万人分の個人情報が流出したとして、被害を受けた男女14人が同社に損害賠償を求めた訴訟の訴訟新判決で、東京高裁は28日、1人あたり35千円から22千円を支払うよう命じた一審・東京地裁判決を支持し、双方の控訴を棄却する判決を言い渡しました。

1人あたり35千円の賠償金は、個人情報の流出をめぐる判決では過去最高額です。


(PSRネットワーク 8/29)
請負工事の大工の労災支給認めず
628日、最高裁第一小法廷で、建設会社の請負工事中けがをしたいわゆる「一人親方」の大工の労災を不支給とした労働基準監督署長の処分について争われた訴訟の上告審判決で、「仕事を請け負い、工事の完成に対して報酬を得る大工は労災保険法上の労働者ではない」とし、大工側の上告を棄却しました。