パートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」のことです。『パートタイマー』『アルバイト』『嘱託』『契約社員』『臨時社員』『準社員』など、呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者はパートタイム労働法の対象となります。
改正パートタイム労働法のポイント
<義務化された事項>
(1)労働条件の文書交付義務
・パートタイム労働者を採用する際、『昇給の有無』『退職金の有無』
『賞与の有無』を文書等で 明示することが義務付けられます。
・この義務に違反した場合、10万円以下の過料に処せられます。
・文書による明示の方法として、適用する部分を明確にして就業規則を
交付することが認められています。
・本人が希望すれば、電子メールやFAXによる明示も認められます。
(2)待遇の決定についての説明義務
・採用後パートタイム労働者から求められた場合は、その労働者の待遇を
決定するにあたって考慮した事項を説明しなければなりません。
・雇用契約書に基づき、労働条件や待遇、更新の有無等に関してあらかじめ
しっかり説明しておくことで、不要な不安を抱かせないことが重要です。
・説明を求められた場合の対応に関して、その求めを即座にはねつけない
ことや、誰がどのように対処するのかなどを、各職場の管理者に周知・
徹底する必要があります。
(3)通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者に対する差別的取扱いの禁止
・通常の労働者と比較して、仕事の内容、責任および人材活用の仕組みが
同じで、かつ雇用期間が決められていないパートタイム労働者は、賃金・
教育訓練・福利厚生における差別的取扱いが禁止されます。
(4)教育訓練に関する均衡の確保
・職務遂行に必要な教育訓練は、仕事の内容、責任が通常の労働者と同じ
パートタイム労働者にも同様に実施しなければなりません。
(5)福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室)
・(3)に該当するパートタイム労働者以外のパートタイム労働者にも、
福利厚生施設の利用に関して通常の労働者と差別的取扱いをしない
配慮義務が課せられます。
(6)通常の労働者(正社員)への転換促進
・以下の3つの措置のいずれかを講じなければなりません。
<1>正社員の募集を行う場合に、その募集に係わる情報を事業所内に
掲示するなどして、その事業所で雇用しているパートタイム労働者
に周知すること
<2>正社員を新たに社内で公募する場合に、その公募に係わる情報を
その事業所で雇用しているパートタイム労働者に周知し、応募する
機会を与えること
<3>一定の資格を有するパートタイム労働者を対象とした正社員への
転換のための試験制度を設けるなど、正社員への転換を促進する
措置を講じること
その他に、苦情処理・紛争解決援助や均衡確保に関していくつかの努力義務事項が
あります。
通常の労働者とパートタイム労働者との均衡処遇の確保が、今回の改正の中心で
あり、また複雑なところでもありますが、その部分(上記(3)〜(5)の部分)
を一覧表にまとめると、以下のようになります。
この均衡処遇問題を回避するもっとも重要なポイントは、パートタイム労働者と
正社員の相違を明確にすること!です。
具体的には、以下のことに留意しましょう。
☆正社員と非正社員の職務を明確に分けること
☆パートタイム労働者の異動をなくすこと
☆有期雇用者の契約期間を徹底すること
以上のことを実施するためには、パートタイム労働者用就業規則を策定し、
周知徹底することが効果的です。
また、必要に応じて既存の就業規則の見直しも必要です。